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ハイキュー!!夢小説

第3章 月島夢 前編


何も言えないでいると、恥ずかしさと自分の不甲斐なさに涙が出てきた。
泣いたら面倒くさい女って思われる。
せめて、今この関係だけは崩したくない。

幸いにも、私が俯けば背が高い彼から表情を読み取ることは出来ない。

少し俯いて、視線を合わせないまま
「確かに、そうだよね。なんかごめん!部活頑張ってね」
そう告げて、紙袋を持ったまま体育館を背に歩き始めた。

遠くで山口君の声が聞こえたけど、きっと今誰かに会うと泣いてしまう。
そんな気がして、聞こえないフリをして教室へ走った。



放課後の教室は、既に電気が消され、暗闇の中に自分の鞄だけが残されていた。
そのまますぐに帰る気にもなれなくて、何となしに椅子に座る。

疲れた。


「あーあ・・・」
小さく声が漏れた。

折角仲良くなれたって思ってたのに。
少しだけど、話も出来てたのに。

「どうしよう・・・」
机に置いていた鞄の上に、突っ伏して体を預ける。
「これって、失恋になるのかなぁ・・・」

そう呟くと、ガラガラと重い音がして教室のドアが開いた。


『それってどういう意味?』


いつもの部活着のまま、見慣れた無表情で月島が立っていた。

驚いた私を尻目に、歩いて近づいて来る。
気持ちを悟られない様にと思うと、無意識に顔に力が入る。

「立ち聞きなんて趣味悪いよ、月島君」
そう言うと、

『僕が教室に入ろうとしたら、君が勝手に喋ったんでショ。勝手に立ち聞きしたことにしないでくれる?』

ぐうの音も出ない。
彼の物言いには、何故か納得してしまう説得力がある。

確かに、私が勝手に教室で呟いたところに、運悪く彼が登場しただけだ。

言葉に詰まってなかなか答えない私に対して、明らかに不機嫌な様子で催促してくる。

『で、さっきの意味は?』

私が呟いた意味、だ。


「・・・・」
何て言ったらいいかわからず、無言になる。

それを察したのか、何も言わずに私の前の席に座って椅子に横座りし、天井を仰いだ。


『言いたくないならアレだけど、聞いてあげてもいいよ』


いつものペースとは違う、彼なりの気遣いが感じられる言葉の選び方。
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