第2章 君の優しさ
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…………部活にて
「んー。ここのフレーズは……。うーん……。」
曲のメロディを考えている時、ある会話が聞こえてきた。
翔「なー、トキヤー。お前もう課題終わったか?」
トキヤ「もちろんです。そんなもの、もうとっくに終わらせてますよ。」
翔「マジか……。俺まだ全然やってねぇよ……。誰か代わりにやってくれねえかなぁ。」
真斗「来栖、そういうものは自らやらねば力がつかないぞ。」
那月「そうですよぉ。テストでまた赤点とってもいいんですかぁ?」
……課題…………テスト……
「あぁっ!」
つい大声をあげてしまった私に何人かが振り向く。
音也「どうしたの、清水?」
「い、いや、な、何でもない、よ?」
音也「そーお?ま、いっか。」
(本当は何でもなくはないんだけどね。)
今テスト期間だということを忘れていた私は課題が全く終わってないことに気づいた。
私は今、かなり焦っている状態。
そんな私に気づいたのか、一ノ瀬さんが私に近づいてきた。
トキヤ「どうしたのです?……本当は何かあるのでしょう?」
(う……。さすが一ノ瀬さん……。鋭いなぁ……。
……一ノ瀬さんになら言ってもいいかな……。)
「あのぅ、実は…………。」
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トキヤ「まったく、貴女は何をしているんですか。
……仕方がありません。
よろしければ、私が教えてさしあげましょうか?」
一ノ瀬さんの口から出た言葉に一瞬固まる。
一ノ瀬さんはいつもテストで1位をとっている、ときいたことがある。
(……そんな頭が良い人に教えてもらえるなんて、凄いラッキーなことだよね?)
「……ぜひ、お願いしますっ!」
こうして、一ノ瀬さんと私の勉強会が始まったのだった。