第3章 悲しい過去
あの夢を見た時から、彼……翼と一ノ瀬さんが重なって見える時がたまにある。
気のせいだと思うけど……。
トキヤ「……どうかしましたか?」
私がぼーっとしてたら、一ノ瀬さんが急に目の前に現れて、私の顔を覗きこんでいた。
「……い、いえ、何でもない…です……」
私は恥ずかしくなって後ろへ一歩下がった。
トキヤ「そうですか……。…………」
一ノ瀬さんは少し不満そうな顔で私を見ていた。
どうしたんだろう……?
その答えを知るのは、もう少し後のことだった。
その後、海から戻って来た来栖達や、別荘の中にいた美風さん達と一緒に歌を作ったり、練習をしていた。
~その日の夜~
夕飯を食べ終えた私達は別荘の奥の森のようなところへとやって来た。
寿さんに“夏恒例のあのイベントをするから"と言われたからだ。
嶺二「よぉし、皆揃ったかな?
ではでは!今から夏恒例のイベントである、“肝試し"を始めちゃうよ~!!イエイイエーイ!!」
音也「肝試し!?めっちゃ楽しそー!」
……肝試し?
……こんな暗ーいところで?
無理ーーー!!絶対なんか出るよぉーー!!
私は恐怖のあまり、少し震えてしまう。
私実は、怖いのは大の苦手なんです……。
いつもこういうイベントは避けてたんだけど……。
嶺二「これ、全員参加だからね!これ絶対!!」
ですよねーー!!
せめて、お化け役ならいいんだけど……。
嶺二「ちなみに二人組で参加してもらうからね~。今からくじでペアとお化け役決めちゃうよーんっ」
そして皆は寿さんがどこからか取り出したくじを次々と引いていった。
私はお化け役のくじを引けることを願うしかなかった。