第4章 「 かたおもい 」 西谷夕
それから、入部こそしなかったけれど、時間のある時はバレー部に顔を出した。
親友の潔子の手伝いをしたい気持ち半分、ノヤがプレイするところを見たいっていう気持ちが半分。
何度も顔を出すうちに
「石井先輩」と呼んでいたノヤが「真由さん」と呼んでくれるようになった。
「西谷くん」と呼んでいた私も「ノヤ」と呼ぶようになった。
距離は縮まっていたけど、あくまでも先輩と後輩。という関係。
もっと距離を縮めたかったから、入部をすればよかったんだけど、それはできなかった。
いつ、どう見ても、ノヤは潔子にメロメロだったから。
それを見るのは、つらかった。
あんな美人、見たことない。優しくて、気も利くし。
私が男でも、潔子を好きになると思う。
そんな潔子には、敵わないって思ったんだ。