第1章 「 先輩 」 菅原孝支
待ち合わせをしている店へ行くと
そこにはすでに真由先輩がいた。
「あ~!スガ~!!」
こっち、こっち
と手招きをしている。
「先輩、お久しぶりです。」
「ひーさーしーぶーりー!まってたー!まってたよー!」
酔ってるな。
「俺が来る前から飲んでたんですか?酔ってません?」
「飲んじゃったよ~。でも、酔ってなーいよー!」
いやいや、
酔ってる
完全に
酔ってます
酔っ払いに何言っても無駄だな…。
「そうですね。酔ってないですよね。」
「そうー!酔ってません!!」
えへへ~
と言いながらおいしそうにお酒を飲む先輩。
どれくらい飲んでるんだ?この人…
「スガも!飲むよ!!」
「あ、はい。」
「今日は、私がおごってあげるからねー!」
「え、ありがとうございます。」
「まかせとけー!!!おにいさーん!!ビール2つ持ってきてー!!」
先輩が店員さんに声をかけ、俺の分のビールも頼む。
注文してすぐにビールがやってきた。
「あの、この人どれくらい飲んでます?」
「えっと、ビール2杯と焼酎水割り1杯ですね。」
わー、結構飲んでる~
ひとりで来て、結構飲んでる~
22歳の大学生が、後輩と待ち合わせしてるのに
ひとりでそんなに飲みます?
いや、飲みませんよね!!!
「はーい!スガ!かんぱーい!」
「かんぱーい…。」
「おいしいねー!おいしいねー!」
「はい。おいしいです。」
「スガと飲むのは初めてだねー!」
「そうですね。」
何食べようねー!
なんて言いながらメニューを開く先輩
ただの酔っ払いなのにかなりかわいく見える