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【HQ】ストロベリーシンドローム

第14章 「 怒涛の一日 」 菅原孝支


いや、彼氏役って。
俺にそんなのできる?
いやいや、無理だろ。


「他に頼れる人いないの?」
「男友達なんてバレー部の子しかいないもん。」

おお…。
旭は結婚が決まってるし、大地は東京。
手を合わせて懇願する姿を見たら、断れない。


「はあ。わかった。」
「ありがとー!!!!!」

渋々了承する俺に真由は満面の笑みを浮かべた
その笑顔があまりにかわいくて、見とれてしまった。


「というわけで、いいスーツ買いに行こう!」


言われるがまま、デパートへ行き、スーツを選ぶ。


「こんな高級店、入ったことないんだけど。」
「そう?大丈夫。スガなら似合うの絶対ある!」

そう言うと、真由は並んでいるスーツをじっくりと見始めた。
俺が心配してるのは、そこじゃないんだけど…。

ふと、近くにあるスーツの値札を見る。
…俺が普段仕事で着てるものより数倍高い。


「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
「この人に合うスーツ探してるんですけど。」

店員にそう伝えると、もう俺は着せ替え人形状態。
あれでもない、これでもないと何パターンもスーツを着た。


「おふたりは、ご夫婦ですか?」
「あ、えっと。」

店員さんの問いかけに口ごもると

「もうすぐ結婚するんです。彼にいいスーツ着てもらいたくて。」

と、真由が横から笑顔で答えた。

「おめでとうございます。」
「ありがとうございます。」

さらに良い笑顔。
俺も話に合わせ、ぎこちなく笑う。

「これが一番良かったね。これください。」
「かしこまりました。包んでまいりますので、お待ちください。」

店員さんがその場を離れると、俺は真由に小声で話しかけた。

「結婚…びっくりした。」
「いや、説明するのめんどくさいでしょ。いいのいいの。」
「適当というか、豪快というか…。」
「私のいいところだよ!」
「うん。まあ、確かに。」

お代は払うと言ったけど、
「こんな面倒なこと頼んでるんだから絶対に払う!」
と聞かず、結局真由が払った。

今度、いいところでご飯奢ろう。
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