第14章 「 怒涛の一日 」 菅原孝支
「えっと、私、二次元を愛するオタクなんです。」
「え?」
「ずっと、隠してましたが、オタクなんです。」
「え?!いつから?!」
「中学…?いや、小学生かな…?」
「え?!出会う前!!」
「そんなの全然前だよ!!当たり前でしょ?!」
高校の時も、5年前も、そんなことは微塵も思わなかった。
驚きを隠せない俺を見て、真由は苦笑いすると、そのまま話し続けた。
「で、私、恋人がいたことありません。」
「ええ?!いるって言ってたよね?!」
「え?誰?」
「だって、高校の時は、別の学校で生徒会長やってる優しい彼氏がいるって。」
「ああ。それ、“生徒会長は優しすぎる”の“宮坂くん”ね。あと、それ中学の時。」
「OB会の時は、年下で料理上手な彼氏がいるって言ってたよね?」
「あー!それは、“お料理王子”の“俊くん”だね!」
「ねえ、その、え?どういうこと?」
「まあ、嫁ってやつだよね。」
「いい笑顔だな!」
ちょっと脳がついていかない。
おたく??
彼氏がいたことない???
いや…嫁?
「っていうか、それと、俺と何の関係があるの?」
「えっとですね。あまりの喪女っぷりを心配した両親が見合い話を持ってきまして。」
「え?ダメなの?」
「いや、いやいやいや!お見合いなんて断りにくいでしょ…。」
「断る前提なんだ。」
「うん。三次元男子にはもう興味持てないもん。」
きっぱり言う姿からはいっそカッコよさを感じた。
「で、その。彼氏がいると大ウソつきまして。」
「はあ。」
「連れてこいってなりました。」
「いや、漫画か!!!」
思わず突っ込んでしまった。
「なので、菅原くん。お願い、助けて!!!」