第13章 「 ハロウィン 」 月島蛍
「まあ、潔子さんに“あの2人はあわよくば イタズラ しようとするから、2人に渡す分のお菓子は持ってきた方がいいよ” って教えてもらってたんだけどね。」
「はあ、清水先輩も大変だな…。」
「っていうか、大事な彼女が先輩にイタズラされそうになってたのに、なんとも思わないんですかー?」
「うん。別に。」
ツッキー、冷たすぎるでしょ…。
「まあいいや。でね、女子がこういうイベントを好きなのも事実なので、私はツッキーからお菓子をもらいたいわけですよ。」
「いや、意味がわからないけど。」
「はい、というわけで、トリック オア トリート!」
私が笑顔で手を差し出すと、ツッキーはその手をつかんだ。
「ねえ、知ってる?」
「ん?何が?」
「“トリート”っていうのは、お菓子じゃなくてもいいんだよ?」
「ふうん?」
「相手を喜ばせる…みたいな意味があるんだ。」
そう言うと、ツッキーは掴んだ手を引きよせ、顔をぐっと近づける。
「僕が石井を喜ばせるか、それとも石井がイタズラをするか、どっちがいい?」
あまりの顔の近さに、何も言うことができない。
「ねえ、何も言わないなら、このままキスしちゃうけど。」
「い!イタズラ!イタズラする!!!」
私が即答すると
「なんだ、残念。」
そう言ってツッキーは離れた。
びびび、びっくりしたー!!!
いや、キスって!!
嬉しいけど、心の準備!!!