第13章 「 ハロウィン 」 月島蛍
「あの人は“一般的な男子高校生”じゃないんだよ。」
「何それ?!スガさんのことディスってんの?!」
「はあ?!なんでそうなるわけ?っていうか、逆に石井はお菓子持ってるわけ?」
「田中さんとノヤっさんに言われると思ってちゃんと持ってました~!」
「ああ、そう。」
そう、それは昼休み。
教室で友だちとお弁当を食べていた時のことだった。
「石井さーん!なんか2年の先輩が呼んでる~。」
ドアを見ると、田中さんとノヤっさんが2人。
こちらを見ている。
「なんですか?」
私が近づくと
「いいか?せーの!」
「「トリック オア トリート!!」」
田中さんの“せーの”の声に合わせ、ふたりでそう言ってきた。
私はすかさず
「どうぞ!」
とキャンディを差し出した。
「なんで、お菓子持ってるの?!」
「絶対持ってないと思ったのに!!」
キャンディを受け取りながら、悔しそうに言う2人。
「女子はそういうイベントすきなので。」
私がにっこり答えると、2人は観念したように教室を去った。