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【HQ】ストロベリーシンドローム

第12章 「 同窓会 」 澤村大地


「俺、水やりしてる石井さんに声かけたことあったよね。」
「あ、うん。あった。」


同じこと、思い出してたのか。
びっくり…。


「あのときの花、すごくきれいに咲いてた。」
「咲いたところも、見てくれてたんだね。」

嬉しい。
花なんて、みんな興味ないのかと思ってた。
でも、澤村くんみたいに見て、きれいって思ってくれる人もいたんだ。
嬉しい。

「あー、まあ、見てたのは、花だけじゃなかったんだけどね。」
「ん?どういうこと?」

私が尋ねると

「え?!うー。っと、あー。なんでもない。」
「??」

「えー。だいちい。いえばいいじゃん。石井さんのことみてたんらよー。って。」

私があたまに「?」を浮かべていると、菅原くんが急に話し始めた。

「スガ?!お前、さっきまで寝てただろ?」
「ねてるわけないじゃん!おきてたよー。」
「え、そうなの?」
「そうらよー。おきてたよー。」
「いや、いびき掻いてただろ?」

菅原くんは先ほどと変わらずにこにこ笑顔だ。

「だいち。石井さんにあえるのたのしみにしてたんらから、そーゆーのをいわないとらめ!!」
「スガ、お前、何言ってんだよ。」
「ん?ほんとうのことらよ?」


菅原くんの悪気のない顔を見ると、澤村くんはため息をついた。
どうすればいいのかわからず、私は困ることしかできない。


「えっと、石井さん、その…。」
「はい?」


澤村くんは、なんとも歯切れが悪い。
そんな澤村くんを見て菅原くんは「しゃきっとしろー!!」なんて言っている。
何度も言うけど、菅原くんは非常に酔っている。


「えっと、俺…。」


澤村くんが口を開くのと同時に


「さあ、そろそろ店出るぞー!!」


幹事が大きな声で言った。


「あ、そっか。もう時間。」

時計を見ると、開始から2時間の21:30だ。


「あー。帰らないとな。」

そう言うと、澤村くんは立ち上がり、菅原くんを立たせた。


「なんだよー!おれ、ひとりでたてる!!」

少し暴れる菅原くんだが、その言葉を聞いた澤村くんが菅原くんから手を離すと、バランスを崩して倒れそうになる。


「無理だよな?」

笑顔で問いかける澤村くんに、菅原くんはばつの悪そうな顔をした。
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