第12章 「 同窓会 」 澤村大地
「石井さん、おれのこと、おぼえてる?」
そう聞いてきたのは
「覚えてるよ、菅原くんでしょ?」
「さすがー!せいかい!!」
何が“さすが”なのかは全くわからないけれど、褒められた。
菅原くんはお酒が入って少しテンションが高いのか、どことなくふわふわしている。
「じゃあ、こいつのことは?」
そう言って横に座っている澤村くんを指さした。
「覚えてるよ、澤村くん。」
「あははー!!せいかいー!!」
菅原くん、絶対酔ってるよね、これ。
異常なまでににこにこしてるよ、菅原くん…。
そんな菅原くんを横目に澤村くんが私に話しかけてきた。
「石井さん、覚えててくれたんだ。」
「覚えてるよ!」
だって好きでしたから!
とは言えないけど。
「澤村くんこそ、よく私のこと覚えてたね。」
「覚えてるよ。」
「そうだよねー。だいちは、そりゃあ、おぼえてるよねー。」
「そうだよね、澤村くん、クラスメイトの顔とか名前、忘れなさそう。」
「あはは~。そーゆーいみでいったんじゃないんだけど。」
「スガ、お前飲みすぎ。」
「うるさい!いいのー!!!」
そう言うと、菅原くんは泣き始めた。
さっきまで、にこにこ笑顔だったのに…。
「えっと、菅原くん、飲むといつもこんな感じなの?」
「違う違う。こいつ、最近、彼女と別れて荒れてるの。」
「いうなよー!!こじんじょうろうほうえい、ほうえい?こじんろうほうほうえい…。いえないじゃんかー!」
「知らねえよ。」
澤村くんがそう言うと、菅原くんはむすっとして
「おねーさん!!うーろんはい、ひとつくらさい!!!」
と、店員さんに言った。
「もう、飲まない方が…。」
「あ、大丈夫。もう、こいつに酒出さないでください。って店員さんには頼んであるから。」
ということは、今菅原くんが飲んでるのはただのウーロン茶なのね。
それでも「やっぱりおさけはおいしいな~。」なんて言いながら、菅原くんは飲んでいる。
「なんか、なんでもいいんだね、菅原くん。」
「はは、まあ、そう言ってやるなよ。」
「なんだよー?!なんのはなし?!」
「いや、こっちの話です。」
私が苦笑いをすると、菅原くんはこちらを睨んだ。
高校の時とキャラが違いすぎるよ。