第3章 「 クリスマス 」 月島蛍
「何も考えてない。行きたいところでもあるの?」
「さすが蛍くん!私の考えることなんてお見通しだね。」
にっこりと笑う真由。
「駅前のね、イルミネーション、見に行きたいんだ。」
駅前・イルミネーション その単語を聞いただけで めんどくさい と思ってしまう。
人混みですよね…。
「だめ?」
僕が嫌そうな顔をしたのを見て、上目づかいでこっちを見てくる真由。
僕がその顔に弱いのを知っててやってるんだ。
「別に。だめじゃない。」
僕がそう言うと、真由の顔がぱあっと明るくなった。
「ありがとう。蛍くん大好き!」
「知ってる。」
「さすが!!」
「大好きなクリスマス、大好きな蛍くんと過ごせる幸せ!嬉しいなあ。」
にこにこ、嬉しそうにしちゃって。
そんなの見たら、僕まで嬉しくなっちゃうじゃん。
さっき「クリスマスなんて嫌い」って言ったけど、こうやって真由が笑顔になるのを見られるから、毎年、少しずつ好きになっていってるのがわかる。
毎年、というか、1日、1日、過ごしていく中で真由の存在が僕の中で大きくなってるんだよね。