第11章 「 さんかく 」 影山飛雄*月島蛍
「私ね、飛雄のことが好き。」
知ってる。
わざわざ、それを言うために?
僕をフルために待ってたの?
「知ってるよ。」
「今までの16年、振り返ってみて、常に飛雄が横にいて。それが当たり前で、飛雄のことが大切なの。」
それも、知ってる。
「大切な、幼馴染。なんていうか、家族みたいな存在なの。」
「そう。」
「私ね、この、飛雄を大切に思う気持ち、好きだなって思う気持ち、恋だって思ってたけど、違った。」
「え?」
「飛雄に よく考えろ って言われて、本当に、本当にじっくり考えたの。飛雄のことは大切。大好き。でも、違ったの。」
石井さんの言葉が自分の中で処理しきれない。
「だから、飛雄には “ごめんなさい” した。」
「何やってんの?!」
「でも、よく考えた結果だから。」
そう言ってほほ笑む石井さんの顔は、どこかすっきりしていた。
「それでね、私、気が付いたんだ。」
そう言うと、石井さんは意を決したように僕を真直ぐ見据えた。
「月島蛍くん。私は、あなたが好きです。」