第11章 「 さんかく 」 影山飛雄*月島蛍
ツッキーと付き合い始めて、1カ月が経とうとしていた。
でも、まだ、キスどころか、手すら握っていない。
「石井さん、行きたいところとか、ある?」
「行きたいところかー。うーん。」
休み時間、ツッキーのところへ行くのがもう、私の習慣だった。
「あ!駅前にいい感じのカフェできたんだよ!知ってる?」
「ふーん。知らない。」
「そこ行きたい!」
「いいよ。」
ツッキーはそう言うと、スマホでカフェを調べ始めた。
「あ。予約できるみたい。予定、いつなら空いてる?」
「私はいつでも暇。」
「なんか、いつでも暇って残念すぎるね。」
「うるさいな!」
ツッキーと一緒にいるのは心地よい。
意地悪なことを言っていても、いつだってツッキーは私のことを大切にしてくれる。
それが、伝わってくる。
ツッキーと一緒にいるのは楽しい。好き。
きっと、もっと好きになれる。
「予約できたよ。」
ツッキーはそう言って笑った。