第11章 「 さんかく 」 影山飛雄*月島蛍
そして約束の日。
カフェは思った以上におしゃれで。
いるだけで少し、テンションの上がる空間だった。
ふたりでランチをして、少し、駅前をぶらぶらした。
付き合い始めたあの日より、少しだけ距離を縮めて歩くようになった。
「ツッキーは子どもの頃、どんな感じだったの?」
「え?うーん。かなり、兄貴に憧れてたかな。」
「そうなんだ。」
「あと、純粋だった。」
「ははっ、何それ!!」
私が笑うと、ツッキーも笑う。
ツッキーは笑う時、優しく笑うんだ。
「石井さんは?」
「うーん。結構、わがままだったかも。」
「そうなの?意外。」
「わがまま言って、結構飛雄を困らせたんだよね。飛雄の使ってる玩具とか、よく横取りしてたな。」
ふと、自然に自分の口から飛雄の名前が出たことにびっくりした。
私とツッキーの間で、飛雄の話はあまりしない。
なんとなく、避けている話題だ。
「そうなんだ。」
「ごめん。」
「何であやまるの?」
「・・・ごめん。」
私がそう言うと、ツッキーは悲しそうに笑った。