第11章 「 さんかく 」 影山飛雄*月島蛍
ピンポーン
玄関チャイムを鳴らすと、飛雄が出てきた。
「真由?どうした?」
「えっと、話があって。」
「話・・・?まあ、上がったら。」
「ううん。ここで大丈夫。」
飛雄は不思議そうな顔をこちらに向けた。
「あの、あのね。飛雄。私・・・ツッキーと付き合うことになったよ。」
そう言うと、飛雄は一瞬、悲しそうな顔をしたかと思うと、笑顔で「おめでとう」と言ってくれた。
「ありがとう。飛雄がツッキー紹介してくれたおかげだから。」
「そっか。紹介してよかったよ。」
「え?!あ、うん。」
「話ってそれだけ?」
「うん。そうだよ。」
「じゃあ、またな。」
そう言うと、飛雄は玄関の扉を閉めた。
「紹介してよかった」と言う飛雄は、前髪を触っていた。
飛雄が嘘をつくときのクセだ。
どういう?どういうこと・・・?
どれだけ考えても、飛雄が嘘をつく理由が見当たらなかった。