第11章 「 さんかく 」 影山飛雄*月島蛍
「うわっ、目、ぱんぱん!!」
鏡を見て、自分の顔に驚く。
目を温めて、腫れを目立たなくさせる。
「これなら、大丈夫かな。」
身支度を整え、学校に向かう。
「あれ、真由。」
声をかけられ、振り向くと、飛雄がいた。
「あ、おはよう。」
笑顔を心がける。
飛雄にしてみれば、別に私を振ったわけじゃない。
私は飛雄に“好き”と言わなかったんだから。
「今日は朝練ないの?」
「おお。今日は体育館に工事が入るらしい。」
「へー!!何の?」
「・・・いや、よくわかってない。」
「飛雄、理解力ないもんね!」
「うるせえ。」
そんな飛雄を見て、笑みがこぼれた。
だって、私はまだ、普通に飛雄が好きだ。
飛雄には迷惑をかけないから、まだしばらく、好きでいてもいいかな。
なんて、聞くことはできないけれど。
また、誰かを好きになるまでは、いいよね。