第11章 「 さんかく 」 影山飛雄*月島蛍
「あれ、おはよう。」
「あ、ツッキー!」
今度はツッキーに声をかけられる。
飛雄は、挨拶もせず、ツッキーのことを見ている。
「あ、ツッキー、昨日はありがとう。」
「全然。お礼を言われるようなこと、してないから。」
「いやいや。本当にうれしかった。ありがとう。」
「昨日、何かあったのか?」
私とツッキーが話しているのを見て、不思議そうに飛雄が聞いてきた。
「えっと、ちょっとね。長電話?したから。」
そう言うと、飛雄は「ふうん。」と呟いた。
「長電話なんて、お前ら仲いいよな。」
「え、うん。まあ、普通に。ねえ?」
「まあ、そうだね。」
「そんなに仲いいなら、付き合っちゃえばいいのに。」
飛雄の言葉に、返事ができない。
というか、やばい、泣きそうだ。
まさか、こんなことを言われるなんて。
笑顔で「そんなことできるわけないでしょ。」「友だちなんだから。」って。そう言えばいいのに。
それが、それができない。