第11章 「 さんかく 」 影山飛雄*月島蛍
翌日から、石井さんは僕を見かけると声をかけてくるようになった。
特に、大した用事はない。
昨日見た夢の話とか、家であったこととか、友だちの話とか。
はっきり言って、どうでもいい話ばかりだ。
よく、話をするようになって数日経った頃、僕は思ったことを言った。
「よく、そんな内容のない話しばっかりできるね。」
僕が嫌みを言っても
「ツッキーが聞いてくれるから、話しちゃうんだよ。聞き上手だね!」
なんて笑って言う。
石井さんと話すようになって、気付いたことがいくつかある。
石井さんは、人が嫌な気持ちになるようなことは言わない。
いつも、明るく、前向きだ。
石井さんは、笑うとかわいい。
笑わなくても、まあ、かわいいんだけど。
笑うと、とびきりかわいい。
石井さんは、影山の話をすると、もっとかわいくなる。
ああ、石井さんは、影山のことが好きなんだな。
ってわかる。
だから、僕は、彼女を好きになったらいけない。
って心のどこかでブレーキをかける。
そんなことを考えてる時点で、もう彼女のことが好きなんだろうけど。
そして思う だから、男女の友情なんて存在しないんだ って。