第11章 「 さんかく 」 影山飛雄*月島蛍
「あ!飛雄。お帰り~!」
家に帰ると、真由はいつものように俺のベッドで寝転んでいた。
「もう、こういうのやめてほしいんだけど。」
「え?何が?」
「勝手に、俺の部屋に来て、勝手にベッドで寝転ぶの。」
「なんでー?!いいじゃん。飛雄のベッド気持ちいいし。」
真由は「ふかふかなんだもん」と言いながら布団の上でころころと転がった。
俺は努めて冷静に、真由の言っていたクセを出さないよう、細心の注意を払った。
「俺、好きな人できたから。」
「え?」
「だから、こういうの、迷惑だから。」
そして笑顔で言った。
「俺が真由と付き合ってるなんて勘違いされても困るだろ?」
上手く言えた。
頑張った。
「そうなんだ。飛雄…。気付かなくてごめん。これからは、やめる。」
真由はそう言ってベッドから降りると
「えっと、じゃあ、帰るね。」
と言って帰っていった。