第11章 「 さんかく 」 影山飛雄*月島蛍
今言ったことはもちろん嘘だ。
でも、真由に自分の気持ちを伝えるなんてできない。
俺が今まで、気持ちに気づかないようにしてきたのは、真由と今の“幼馴染”という関係をやめたくなかったからだ。
この気持ちを言ってしまえば
もう、二度と真由は俺に笑いかけてくれないかもしれない。
仮に、真由と付き合えたとして、それはいつまで?
まだ、高校生。
そこからずっと付き合いを続けて、結婚して、死ぬまで添い遂げるなんて、誰が保障してくれる?
一生、仲良く居続けるには“幼馴染”が一番だ。
それなら、結婚したって、子どもが生まれたって、家族ぐるみで付き合いが続けられる自信がある。
だから、俺は今まで通りを続けるために、一生“幼馴染”で居続ける選択をした。
さっきまで真由が横になっていたベッドに寝転がる。
少し、温かい。
後悔は、しない。
でも、今日だけは・・・。
俺は、声を押し殺して泣いた。