第10章 「 終わりと始まり 」 赤葦京治
「ごめんね。目立つようなことして。」
「いえ、むしろ、晴登が…ごめんなさい。」
「というか、石井さん、男を見る目をもう少し養った方がいい。」
「ははは…。本当、そうだよね。」
笑うしかない。
何で、どうして、あんな男のことが好きだったんだろう。
そう思うと、自然と涙が出てきた。
「ご、ごめんなさい。すぐ、すぐ止める!!」
一生懸命止めようとしても、涙は際限なく出続ける。
赤葦くんは、そんな私を優しく抱きしめた。
「ふうぇ?!あ、赤葦くん?」
「ごめん。我慢できなかった。」
あまりに驚きすぎて、自分の身体が固まっているのがわかる。
「俺、石井さんのことが好きだから。」
抱きしめられたまま、赤葦くんにそう言われた。
驚きすぎて、何も言えない。
赤葦くんは、私から離れ、顔を見ると
「ははっ、びっくりしてる。」
そう言って笑った。
私の涙はいつの間にか止まっていた。