第10章 「 終わりと始まり 」 赤葦京治
「実はあの公園で石井さんに声をかける前から、知ってたんだ。石井さんのこと。」
「え?!そうなの?!」
「ファミレスでバイトしてるの見てて。明るくて、可愛い子だなって思ってた。前から気になってたんだよね。」
「し、知らなかった…。」
「ほら、だから俺、石井さんから名前聞かなかったけど、知ってたんだよ…。ってそこは疑問に思ってなかった?」
「え、うん。全く。」
そう言えば、名乗ったことはなかったかもしれない。
それから赤葦くんは
私が気になって、ちょくちょくファミレスに通っていたこと(実は常連さんだったみたい。気づかなかった!)
気になっている女の子である私が、公園で泣いているのを見て声をかけたこと
本当は「ヒーローズ」を見たことがなかったこと(私が好きって知って急いでレンタルしたらしい)
いろんなことを正直に話してくれた。
「石井さんは、俺のこと、ただの友だち…とすら思ってないかもしれないけど。」
「いや、そんな。」
「そう、だから、今日言うつもりなかったんだよ。もっと距離を詰めてから言うつもりだったんだけど。さっきのを見たら、ちょっと我慢できなくて。」
赤葦くんは苦笑いしながら言った。