第10章 「 終わりと始まり 」 赤葦京治
晴登はこちらを見て何かを察し、話し始めた。
「なんだ…。そういうことか。」
「なにが?」
「お前も、浮気してたんだろ?」
「はあ?!なんでそうなるわけ?!」
「俺のこと殴っておいて、自分もとか、笑わせんなよ。」
「あんたと一緒にしないでよ。この人は友だちだから!」
「言っとくけどな、俺はお前のことなんか好きじゃなかったんだ。ただの、遊びだったよ。」
晴登の言葉に、何も言い返すことができない。
「あれ?その顔。ショック受けちゃった?ごめんね。」
この人、こんな人だったっけ・・・・。
「お前みたいなかわいげのない女、好きになる男なんていないからな!!」
ははははは!!!と笑いながら晴登はそう言った。
悔しい。なんで、こんな奴のこと、好きだったんだろう。
悔しい。どうして、何も言い返せないんだろう。
私は晴登の顔を睨みつけることしかできなかった。
「うわ、何すんだ。」
「すみません。手が滑りました。」
何が起こったのか、理解するのに時間はかからなかった。
立ち上がった赤葦くんがアイスコーヒーを晴登にかけた。
「行くよ。」
そう言うと、赤葦くんは私の手を引いて走った。