第10章 「 終わりと始まり 」 赤葦京治
そして、約束の日。
「服、変じゃないかな。大丈夫かな…。」
昨日、夜遅くまで考えたコーディネート。
でも、改めて見ると変なような気がしてくる。
「お母さん!!この服、変じゃない?!」
「あら、かわいい。全然変じゃないよ。」
「本当に?!心配だな~。」
「そんなにおしゃれして。デート?」
「ちがう!そういうのじゃないから!!」
「ふーん…。」
「違うって言ってるでしょ?!ただ、映画見に行くだけだから。」
「男の子とふたりで?」
「そうだけど…。」
「お母さん、そういうのをデートって言うんだと思ってたわ。」
「だから、違うんだってば!!」
私がそう言っても「はいはい。」と軽くあしらわれる。
「真由、時間大丈夫なの?」
そう言われ、時計を見ると家を出ようと思っていた時間を10分過ぎていた。
「大丈夫じゃない!!」
慌ててカバンを持ち、家を出る。
「行ってきます!!」
お母さんに「デート」と言われると
ただ「遊びに行く」感覚だったのに
少し緊張してしまう。
デートじゃない、デートじゃない
遊びに行くだけ、遊びに行くだけ
心の中で呪文のように唱えながら、待ち合わせ場所である駅へと向かった。