第10章 「 終わりと始まり 」 赤葦京治
しばらく、話して気になっていたことを尋ねてみた。
「赤葦さんって、何年生なんですか?」
「2年ですね。」
「あ、一緒ですね。」
「あ、そうなんですか。」
「なんか、あれですね…。お互い、敬語やめます?」
「そうですね。ついでに、“赤葦さん”って呼ぶのもやめてもらえると…。せめて“くん”で。」
「じゃあ、赤葦くんって呼ぶことにする。」
「ははっ。ありがとう。」
赤葦さんは笑いながらそう言った。
「赤葦くん、もう、ここで大丈夫。家はすぐそこだから。」
「そう。本当に近く?」
「うん。本当に、すぐそこ。」
「わかった。じゃあ。また。」
「じゃあね。」
赤葦くんに背を向け、一歩を踏み出そうとした時、
「待って!」
腕をぐっと掴まれた。
「え?!っと?何?」
「その…。連絡先、教えてほしくて。」
掴んだ手から緊張しているのが伝わってくる。
「ダメ・・・?」
そんな風に聞かれ、「いいよ」と答えることしかできなかった。