第10章 「 終わりと始まり 」 赤葦京治
「お先に失礼します。」
「お疲れ様~!」
挨拶をして、急いで身支度を済ませる。
「す、すみません!赤葦さん、お待たせしました!」
「いや。全然待ってないので。」
つい5分ほど前、お会計を済ませた赤葦さんは、店の前で待ってくれていた。
「なんか、本当すみません。」
「俺は全然、いいんですけど。むしろ、石井さん、嫌じゃないですか?俺のことなんてよく知らないのに。」
「いえ!少ししかお話してないですけど、赤葦さんがとってもいい人、ってことはわかってるので大丈夫です!」
私がそう言うと、赤葦さんは小さな声で 「そう」 と一言つぶやいた。
「部活、何やってるんですか?」
「ああ、えっと、バレーです。」
「へー!バレー!!じゃあ、今日はバレー部の先輩たちと一緒だったんですね。」
「そうです。よくわかりましたね。」
「ええ。だって、みなさんに敬語使ってたので。」
って、しまった!
これ、がん見してました!って言ってるみたいじゃない?!
でも、赤葦さんは気にしてなさそう…大丈夫かな。