第10章 「 終わりと始まり 」 赤葦京治
翌日。
昨日と同じ時間、公園へ向かうと、そこにはすでに男の子がいた。
「えっと、あの!」
「ああ。こんばんは。」
男の子はにっこりと笑ってこちらを見た。
「あの、ハンカチ、ありがとうございました。」
「あ、なんかアイロンまでかけてくれました?ありがとうございます。」
男の子はそう言って私からハンカチを受け取った。
「えっと、あの、今更なんですけど、お名前伺ってもいいですか?」
「あ。言ってなかったですね。赤葦と言います。」
「赤葦さん。昨日は、本当に、ありがとうございました。」
「本当に気にしないでください。でも、役に立てたならよかった。」
赤葦さんはそう言うと微笑んだ。
「赤葦さんも、何か聞いてほしいことがあったら言ってくださいね!私、聞きますよ!」
「はは。ありがとうございます。また、機会があれば。」
「はい!」
「じゃあ、また。石井さん。」
「はい。赤葦さん。」
とは言ったけど、きっと赤葦さんに会うこともないんだろうな。
連絡先も知らないし。
聞き上手の、素敵な人だったな。
背も高くて、かっこいいし、物腰柔らかくて。
素敵だったな。