第10章 「 終わりと始まり 」 赤葦京治
何から話せば良いのかわからない私は、言葉を選びながら晴登とのことを話した。
その間、男の子は頷くだけで、何も言いはしない。
話している途中、やっぱり泣いてしまったけれど、話を受け止めてもらって少しすっきりしたような気がする。
「ありがとうございます。お話、聞いていただいて。」
「話を聞くくらい、別に。」
「聞いていただいて、少し気持ちが楽になったと思います。」
「なら、良かったです。」
男の子は微笑んだ。
「もう、涙も出なさそうですね。俺、行きます。」
そう言って男の子は立ち上がった。
「えっと、あの!」
「はい。」
「あの、明日も会えますか?」
「明日…ですか?」
「えっと・・・そう!ハンカチを返したいし。」
男の子は少し考えると
「大丈夫ですよ。」
と言った。
「明日、また同じ時間に。」
そう約束をした。