第9章 「 ひみつのノート 」 及川徹
私は全力で走って、学校へ向かった。
走って、走って、走って。
男子バレー部の部室へと向かう。
勢いよく、扉を開けるが、そこに及川くんの姿はなく、数名のバレー部員がこちらを見て驚いた顔をしていた。
「はぁ、はぁ、あの…、えっと…、おい、及川くんいますか…?」
「及川さんなら、さっき帰りましたけど。」
「帰った?!えっと…。」
「えーっと…。本当にさっきなので、まだ間に合うと思います。駅方面に行くって言ってました。」
「あ、ありがとう!!」
私はそう言ってまた、駅へ向かって全速力で走った。
それは、もう、ただがむしゃらに。
しばらく走ると、見慣れた背中。
ああ、あれだ。
「お、及川くん!!!」
私の出せる最大の声で名前を呼ぶ。
振り返った彼は私を見ると、とても驚いた顔をした。
「ごめん、みんな、先に行ってて。」
及川くんは、一緒に歩いていた友だちにそう言うと、こちらに向かって走ってきた。