第9章 「 ひみつのノート 」 及川徹
そして、今、俺は彼女から『最後のノート』を受け取った。
これを返したら、彼女とのつながりは、もう無くなってしまう。
どうしよう。どうしよう。
頭の中でぐるぐると考えながら漫画を読んで、最後のページまで来てしまった。
ノートを返すと、沈黙の時間。
次の話も読ませてもらえないか、聞いてみよう。
「ねえ、真由ちゃん、次の話…。」
「次はね、しばらく書かないの。」
「え?なんで?!」
「そろそろ、受験勉強、まじめにやらないと。」
何か、何か、何か、何か。
親しくしていられる、何かはないか。
繋がりをなくさずにいられる、何かはないか。
「一緒に、受験勉強しようよ。」
「え?何で?」
彼女はきょとんとした顔でそう言った。