第9章 「 ひみつのノート 」 及川徹
しかし、それからしばらくは彼女と直接話すことはなかった。
というのも、何度も朝練に遅刻したことで、監督とコーチに叱られた俺は、ちゃんと朝練に出なくてはいけなくなった。
岩ちゃんにもだいぶ怒られた。
練習に参加しないのは、やっぱり駄目だよな。
まあ、当たり前のことなんだけど。
クラスメイトがいる間は、彼女になかなか話しかけられない。
あの、ノートを返したときの彼女の顔。もう、見たくないと思った。
彼女の嫌がることは、もうしない方がいい。
ノート貸してもらうっていう流れだけでもかなり無理させてると思うし…。
せめて、コミュニケーションが取れれば!と、返すノートに手紙を入れるようにすると
彼女からも返事が来るようになった。
それが、本当にうれしかった。