第9章 「 ひみつのノート 」 及川徹
朝練が終わり、教室へ戻ると、彼女は自分の席に座っていた。
「あ!いるじゃん!!」
俺が話しかけると、受け答えをしてくれるけれど、何か居心地が悪そうな様子だ。
確かに、今俺たちにかなり視線が集まっている気がする。
そうだよな、普段喋ったことないのに、急に仲よさそうにしてたら、不思議に思うよな。
「真由ちゃんのノート、キレイに書いてあって、見やすかった。ありがとう。」
俺はそう言ってノートを返し、自分の席へと戻った。
授業のノートをクラスメイトに借りた というごく自然な構図の完成だ。
俺、天才かも!!
案の定、クラスメイトは「なんだ。授業のノートか。」なんて言っている。
その日、何人かに「なんのノート?」って聞かれたけど、全部適当に答えておいた。