第9章 「 ひみつのノート 」 及川徹
「俺、あのシーン本当に好きなんだよね!」
及川くんは嬉しそうに私の漫画の感想を話し始めた。
「ありがとう。そうやって言ってもらえるの、嬉しい。」
「俺、真由ちゃんのファンだからね!」
「それは光栄です。」
私がそう言うと、及川くんは微笑んだ。
「私、初めて及川くんにマンガ書いてるところ見られた時、すごいテンパってたじゃない?」
「ああ!すごい勢いで教室から出て行ったからびっくりしたよ。」
「そこから流れで及川くんに漫画読んでもらうようになってね、私…。なんていうんだろう。
読んでくれる人のことを考えながら書くっていうことの楽しさに気が付けたんだよね。
最初は読まれるの恥ずかしいって思ってたんだけど、だんだんそうでもなくなっていって。
いつも、及川くんが手紙くれるの、嬉しいんだー。だから、ありがとう。」
「なんか、そんな、真剣にお礼言われると照れるね。」
及川くんは頭をぽりぽりと掻きながらそう言った。