第9章 「 ひみつのノート 」 及川徹
いつものように、朝、教室へ行く。
ノートを貸すという約束をしてから、ちゃんと部活に行っていた及川くんが、今日は私より先に教室にいた。
「あれ?どうしたの?」
「今日は練習休みだから。真由ちゃんと喋りたくて、早く来てみた!」
「ああ、そうなんだ。」
「今日は 却下! って言わないね。」
「まあ、私も及川くんと喋ってあげてもいいと思えるようになってきたのかな。」
「ははっ!それはよかった。」
及川くんは嬉しそうに笑った。
手紙でのやり取りはあっても、直接喋るのは随分久しぶりだった。