第9章 「 ひみつのノート 」 及川徹
「ねえ、また続き「却下!」
「だから、言い終わってない!!」
「及川くん。もう先生もくるし、席に着いた方がいいと思うよ。」
私はできるだけ、冷静に笑顔で言うよう努めた。
というのも、友だちのいない私に及川くんが親しげに話しかける様は異様で、クラスではありえない状況。
その状況にクラスメイトたちの視線が集まっていることに気が付いたからだ。
私のその様子を見て、何かを察したのか、及川くんは
「真由ちゃんのノート、キレイに書いてあって、見やすかった。ありがとう。」
笑顔でそう言うと、席へと戻っていった。
及川くんの言葉を聞き、席へ戻る様子を見たクラスメイトたちは、授業のノートだと思ったようで、「なんだ。」とでも言うような顔をして、普段通り、友だち同士でお喋りを始めた。
意外と優しいというか、気遣いのできる人なんだ。及川くん。