第4章 復帰と合宿とお猫様
「悪かったな。お前にまで気を使わせてしまって。」
そうすまなさそうに謝る澤村先輩にこちらも正直な気持ちを伝える。
『いえ、勝手にやっただけですし、何回も助けていただいている旭さんに恩返ししたかったのと、ゆうちゃんに戻ってきて欲しかったので。あとは、自分自身の禊、みたいなもので。自分の体験を彼らに重ねて…疑似的にでも解決させたかったていう…気持ちでやったので最終的には自分の為なんですよね…』
「そう…だったのか…」
口から出たその言葉に自分自身でなんだか納得した。使命感とか、影山君に頼まれたから動いていたつもりだったのに…
あろうことか私は彼らに自分を重ねて、疑似的に自分の後悔を解決させようとしていたのだ。
そして、澤村先輩の反応にしまった!と感じた。
結局、私は自分の為だけに動いていたということも図らずとも、彼と同じタイミングで知ることとなってしまった。
なんて最低な奴。
と自分でも罵りながら、澤村先輩の言葉を待つ。
「でもさ。それってようやくも前を向き始めたってことだろう?過去を清算しようとしたということはさ。
無意識かもしれないけどお前は俺達の中で仲間を助けようとしてくれたんだから。別に恥ずべきことではないと思うぞ。
そしてお前も俺たちの仲間なんだからもっと頼れよな。」
その言葉に涙が出てくる。
するとヨシヨシと先輩が頭を撫でてくれて更に涙が止まらなくなる。
『澤村先輩。ありがとうございます。先輩って大人なんですね。すごい頼もしいっていうか、安心します。』
「え!?ああ…あのさ、こんなタイミングで言うのも変かもしれないけど俺の事、下の名前で呼んでもらっていいかな?
なんか上の名前で呼ばれるの慣れなくて。」
『へ?ああ、確かにみなさん大地さんって呼んでますもんね。』
そう言って涙を拭いながら意を決して目の前の澤村せんp…じゃなかった大地さんを見る。
『大地さん、改めましてこれからよろしくお願いします。』
そう笑顔で伝えると彼の顔がサッと赤らむ。
その姿に釣られて私も赤らんでしまう。
「なんか今の結婚するみたいだな」
と大地さんが追い打ちをかけるから更に顔が赤くなる。
『うぅ…天然って厄介なんですね…反面教師だ…』
狼狽える私を見て、意味の分かった彼も狼狽える。