第4章 復帰と合宿とお猫様
そんな嫌がる人を説得してもなぁー
と思う反面、この二人の純粋な言葉には確かに力があると私も思っている。
だからこそ、私は2人の旭さんへの言葉に聞き役に徹して何も発言しない。
「あの、一人で勝てないの当たり前です。コートには6人いるんだから。俺もそれ分かったのついこの間なんで偉そうなこと言えないッスけど。失礼します。」
チャイムが聞こえる中、そう伝えた影山君の隣でせっかく来たから私も伝える。
『今日放課後、視聴覚室の前で待ってます。』
旭「………???」
完全に意味の分かっていない様子の旭さんに告げて去る。
彼の性格上、絶対来てくれる。
そう確信に似た思いを感じながら走って教室へと戻る。
影「視聴覚室ってなんでだ??」
『視聴覚室は体育館の入り口の近くなんだよ。』
そう伝えると影山君の顔から驚きの表情が汲み取れた。
「お前ってそういえば頭良かったんだっけな。」
『影山君はスゴイバカなんだっけ??』
「てめぇ!コラ!バカにしてんのか!?コラァァァ!!」
そうやってなんだか可愛い影山君をからかいながら2人で教室に向かう。
…そういえば昨日キスされた気がする…けどその後の蛍の印象が強すぎて忘れてしまっていた。
キスされたことさえも忘れてしまう私ってかなり大人だ。
でもファーストキスだったはずの影山君までいつも通りで正直びっくりする。
まぁ、今の今まで忘れていた私の言えることじゃないけど←
ふと気づくともう教室の前まで来て、また放課後に。と影山君に別れを告げる。
「…キス、したこと後悔してないからな。月島の方が先だったけど、チャンスがあったらまたいつでもするから気を付けろよコラ。」
と言い残してサッと3組の教室に入って行ってしまった影山君に私はポカンとして廊下に残される。
言葉の意味をじわじわと理解していき顔を真っ赤にして教室のドアを開けると真ん前に蛍が立っていた。
蛍「トイレ行こうとしただけだから」
全てを聞かれたであろう蛍に、私は硬直しながら〝い、行ってらっしゃい”としか伝えられなかった。
~が扉を開ける5秒前~
「ねぇ…月島君が扉前で固まってるよ…」
「怖っ!なんか黒いオーラやばくない??」
みんなから同情されるであった←