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Box【HQ!!】

第1章 入学と出会いとあの日


月島side



僕はこの気持ちの名前を知っている。
もうとっくの昔から〝そうだった”のに僕はずっと見ないふりをした。
お別れが寂しくなるから。
僕にとっての一番怖いお別れと共に、僕は贈り物をもらった。
月と星のキーホルダー。

それと僕にだけ向けられた彼女の可愛い顔も、僕にとっては嬉しいプレゼントだった。

これを選ぶ時は僕の事だけを考えていてくれたはず。
そう思うと居ても立っても居られなくなり、彼女の手を引き体育館の裏に連れて行った。

この気持ちをどう伝えようか。



体育館の裏に着き、向かい合って立つと彼女は不思議な顔をしていた。


僕は勇気を出して聞いてみた。



「兄貴には…!兄貴にも何かあげたの…??」


『あげたって…プレゼント?ううん。特にないよ。』



きょとんとした表情をした彼女はさも当然のように言った。
その言葉を聞いたら言いようのない優越感を感じた。
そしてそんな油断した僕に更に彼女の一言が突き刺さる。



『蛍にだけだもん。お別れなんて寂しいけど仕方ないよね。』



そう言って頬を染めて悲しそうに下を向いた彼女に僕の理性は白旗を挙げた。

そして最早衝動的に彼女を抱きしめる。

〝きゃっ”と小さく声を上げた彼女は、耳まで真っ赤にして今は僕の腕の中。
まるで彼女の全てを我が物にしたような錯覚に頭がクラクラする。
そして僕は彼女の耳に小さく囁く。


「ごめん。僕は急だったしプレゼント準備してないから代わりに思い出でもいい?」


僕の言葉に彼女が反応するより早く僕は少し彼女から離れ、彼女の両肩を持ち、軽くキスをして離れた。


その直後の顔は見ものだった。目をパチクリさせて真っ赤になって戸惑う姿に愛しさが込み上げてくる。


「ちょっとー目を瞑らないと雰囲気台無しじゃん。」


そう僕がおどけて言うと更に真っ赤になり、彼女は目を瞑った。
思い出に一回だけと思ってした不意打ちのキスに対して、彼女から受け入れてもらったような気がして今度は僕の動悸が止まらなくなる。

そして今度はゆっくりとキスをする。
勿論僕も目を閉じて。
全然逃げない彼女の態度に気を良くした僕はキスをしたまま彼女を抱きしめる。
すると今度は僕の服の裾をキュッと彼女が握る。



幸せな時間だった。


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