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Box【HQ!!】

第4章 復帰と合宿とお猫様




音駒との対戦に向けて熱のこもった練習も終わり。
いつも通りの帰り道。
いつも通りじゃない蛍。
理由は分かってる。影山君の事だ。
ひしひしと感じる。どうしてそんなに考えなしなの??というオーラを感じる。
ホントにテレパシーなんじゃないかなと冷汗をかく私。

「テレパシーっていうより一緒にいる時間が長いから段々僕の考えることが分かってきたんじゃない?」


『て、テレパシーって思っていたのまでバレてた!』


「てか分かり易すぎ、ぷっ。」


そう笑われると一気にその場が和んだ。
そこからは明日の宿題の話となる。今回は英語の先生が厳しめの課題を出してみんな大変だと口々に言っていた。
蛍に大丈夫かと聞くと少し苦い顔をして、〝平気。大変だけど”と言った。
蛍ならてっきり〝余裕”とか〝当たり前デショ。誰に言ってんの”て行ってくると思ったのに…

『教えようか?』

そこまで言った所でふと鞄の中を確認する。ノートがなければ教えられないし…と思ったがそれよりも重要な違和感に気が付く。
定期入れにつけていたはずのキーホルダーがない。
月と星のあのキーホルダーがないのだ。
今までは鞄につけていたから目に付いていたのだが、蛍にバレないようにと使用頻度の低い定期入れに付けていたせいで、最後に見たのがいつかも分からない。
いや、家で落としたか、学校で落としたかくらいしか選択肢はない。
とりあえず家を探そう。


「じゃあ宿題教えてもらってもいい?」


そう聞かれたので思わずうんと頷いた。
とりあえず。蛍にはバレないようにしよう。
そう心に決めた。








私の家に着き、リビングに入った私達はローテーブルの上に宿題を広げて頭を突き合わせる。



「なんでこういう風に訳したら違う訳?」


『ここは組み合わせ的にもこの意味が合ってて、日本語的なことわざになぞらえて読み取らせたいみたいなの』


「覆水盆に返らず的な?」


『正解!』


そこまで答えてふと気づく。


『蛍、このレベル本当に分からなかったの??』


「正解。」



不敵に笑った蛍に覆い被さられて押し倒された私は本日何度目かの男性の気配を感じ、身震いする。
私は知っている。
その中でも一番蛍が恐ろしいことを。
そして反芻される。
朝の言葉が。

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