第4章 復帰と合宿とお猫様
教室に戻ると皆から色々聞かれ、一生懸命説明する羽目に。半信半疑といった様子で何とか理解して貰えてホッと一安心。
あのままだったら月島&影山を手玉に取る超魔性の女っていう噂を立てられるに違いない!
その日の部活にはその説明に時間が取られ遅れてしまった。
体育館に行くと菅原さんから日向と影山君が旭さんを説明しに行っていた事を聞き、申し訳ない気持ちに苛まれる。
影山君に私、せっかく誘ってもらったのに…あろう事かチョップして逃げちゃった。
そう気持ちが落ち込んでいるとスタスタと影山君が体育館に入ってきた。
今しかない!と大きく息を吸い込んで影山君に駆け寄り話しかけに行ってみる。
『影山君!さ、さっきはごめんね!!!』
「お…おう。いや、俺も主語とかなくて…悪かった。」
影山君の言葉にビックリする。てっきり〝てめぇ覚えとけよ。ボケェ!”って怒鳴られると思ったのに。
目の前の彼は意外や意外、ちょっぴりシュンとしていて…
---あの後蛍から説明受けたんだろうなぁ。
「あ、あのなぁ。俺はお前と話したことそんなにないから、お前の事よく知らない。だから今日ぐらいは知ろう…と…おも…っている…。」
ん?影山君が赤くなっている。
そしてこの言葉、知りたい?えーっと。仲良くなりたいってことかな??
確かに部活中も登下校も蛍とか山口君と話すことが多くて、影山君とはあんまり話したことない。
『じゃあ話そう。今日はいっぱい。私も知りたい、影山君の事。』
そして皆が集まる前のストレッチの時間を今日は影山君と二人っきりで過ごしてみた。
ストレッチをする影山君に向き合って、しゃがみ込んで話をする。
他愛のない話から始まり影山君の笑顔が見られるようになった頃合を見計らって、私は前々から話したかったあの話を持ち出した。
彼と私の共通の感覚。ボールの先に仲間が居なかったあの絶望の事。
その話題になると途端に表情が暗くなったのが分かった。
でも私は構わず話し続ける。
『私はあの感覚から抜け出せない…人を信用できないの。なんでみんな頑張れるんだろう…。人を信用するってどういうことだったか思い出せなくなっちゃった…。』
口を突いて出た言葉に私自身が驚く。
あのことは過去でもう終わったことなのに引きずっていた自分に初めて気が付いた…