第3章 仲間と4強と守護神
その日はしつこく来る及川さんのLINEは徹底的にシカトして、岩泉さんのLINEにだけ返信した。
LINEの文章からも伝わってくる男気溢れる文章に自然と笑みが零れる。
一生懸命打っているんだろうなぁと想像しながら、今日は試合があった彼を休ませる為に早めに切り上げておやすみなさいとメッセージを送る。
「おう。おやすみ。」
そう返信があり、スマホをしまうと蛍の言葉が蘇ってくる。
「好みなんでしょ?ああいう硬派なタイプ。」
うーん。言われてみればそうかも。
ずっとゆうちゃんを見ていたから男気溢れる人はかっこいいって素直に思うし。
そう考えてみるとなんだか合点がいった。今日の岩泉さんに対して抱えていたモヤモヤがスッと胸に落ちた気がした。
なぁんだ、私硬派な人がタイプなんだ。
納得してスッキリした私は眠りにつく。
そして懐かしい夢を見た。
「!大きくなったらオレと結婚しようぜ!な!いいだろ!」
『結婚?うーん、いいよぉー。面白そうだね。』
「ほんとか!?約束だぞ!」
『うん。でもゆうちゃん大きくなるの??』
「バカ言え!俺は誰よりも大きくなるんだからな!見てろよ!」
そんな幼いゆうちゃんと私の約束は最後に宮城で過ごした夏休みに終わりを告げた。
「イトコは結婚出来ないんだって!なんでだよ!どうしてだよ!」
珍しく苦しそうな顔をしたゆうちゃんに私は掛ける言葉が見つからない。
拳を強く握りしめて、唇を噛むその姿に胸が苦しくなる。
「でも俺は諦めないからな!世の中が認めないならを連れ出して逃げてやるぜ!」
そう言ったゆうちゃんの目にはもう光が宿っていて、私はその姿に単純に嬉しくなる。
それから長い間連絡取らずに別々の人生を歩んでいた私達。
ようやく会えると思ったら心が弾む。
そう思った瞬間に目が覚め、正に目覚めの良い朝となった。
ゆうちゃんのお父さんから背は全然伸びていないぞ。ってそれだけ教えてもらっているから余計ニヤニヤしてしまう。
きっと悔しがるんだろうなーとか、相変わらず男らしいのかなーって想像するだけで楽しい。
天才で守護神ってことはレシーブも上手くなっているだろうし。
そもそも私のバレーの師匠なんだからお手合わせしたいな!
あー!楽しみ!
そうルンルンしながら今日も蛍と登校する。