第3章 仲間と4強と守護神
守護神。
それはきっとゆうちゃんの事。
及川さんの事なんてすっかり忘れてしまう位私の頭はゆうちゃんの事でいっぱいだった。
ゆうちゃんのお父さんにこっそり聞いて烏野に来たのにゆうちゃんとは会えなくて、部活にも来ていなかった。
何かあったんだろうとは思っていたけど、やっぱり本人の口から本当の事が聞きたくて誰にも何も言わなかった。
蛍達と歩いていると皆の姿が見えて少しだけ守護神の話が出てきた。
停学1週間に、部活禁止1ヶ月。それだけ聞いたら確かに日向みたいにバリバリの不良を想像するだろう。
田中さんの〝熱すぎる天才の選手”という表現に確かに、と納得する。
澤「ソイツが戻ってきたら、先輩って呼んでやれよ。日向。
田中みたくバカ喜びすると思うから。」
その姿を想像するだけで頬が緩む。
今日も蛍に家まで送ってもらう。
山口君と別れた所でLINEを受信した。
チラッと見るとハートマークの沢山付いたメッセージが及川さんから届いていた。
その次には岩泉さんから及川さんについての謝罪のメッセージも来ていて、及川さんからIDを聞いた事も重ねて謝罪していた。その文面を見てなんだか岩泉さんらしいなぁーと思っていると、一連のやり取りをすべて上から見ていた蛍の眉間の皺が更に濃くなった。
「なんで及川さんにID教えたのさ。どうせ考えなしにやったんだろうけど。で、厄介なことになったじゃん。」
『別に及川さんみたいにチャラい人好きじゃないもん。』
「そっちじゃなくて岩泉さん。好みなんでしょ?ああいう硬派なタイプ。今日はメガネを掛けていたのに顔赤くしちゃってさ。」
『べ、別にそんなんじゃない!……と思うけど。私、自分でもタイプとかよく分かっていなくてさ。でも蛍がそう言うならそうなのかなぁ……。』
「じゃあなし。今のなし。のタイプは長身でアマノジャクな僕みたいな人。いい?分かった??」
そう言いきった蛍がなんだか可愛くて笑ってしまう。
自分でもアマノジャクって気付いてるんじゃん。
私が笑い出したことに一瞬照れた様子だった蛍も私に釣られて少し笑顔が見られた。
〝とにかく及川さんより岩泉さんに気を付けること。写真は絶対送らないこと!”等、蛍から注意を受けてマンションの前で別れた。
よし!とりあえず及川さんはシカトしよう!チャラいもん←