第3章 仲間と4強と守護神
腕の中のトレーナーから蛍の香りがする。ここ最近でいっつも隣に居た香りに胸が高まる。
はッ!いけない、いけない!
また蛍の事を考えてる!
私はマネージャー!みんなのマネージャー!
そんな風に邪念(?)を振り払いながら練習試合を見届ける。
日向と影山君のコンビは本当に素晴らしい。
あんな早いモーション見たことない。
取ってみたいなぁと純粋に思った。
結局、蛍達は負けてしまった。
まぁ影山君が勝たないとセッター出来ないから困るんだけど。
そんな事を考えながら皆にドリンクを手渡す。
1年生の4人はまたワイワイやっている。
そして嫌がる蛍の手を握ろうと日向がピョンピョン迫って来ていた。
珍しく押され気味の蛍を見て隣に居た清水先輩と二人でクスクス笑った。
そしてひと騒動終わって手を負傷(?)している蛍にトレーナーを渡していると澤村先輩が来た。
澤「月島!どうだった?3対3は。」
蛍「別にどうでも。エリート校の王様相手だし。僕ら庶民が勝てなくても何も不思議じゃないです。」
澤「ふーん。その割にはさ、ちゃんと本気だったじゃん。ホラ。」
そう言って蛍の手元のトレーナーを指さす。
途端に嫌な顔になる蛍に私は笑ってしまう。
そして清水先輩がジャージを持って来て下さった。
1年生でジャージを着る流れの中、蛍は着ようとしなかった。
嫌がる蛍に先輩方は〝着ろコール”をする。
そして渋々蛍もジャージを羽織り、5人で並ぶ。
「「おぉーーーーー!」」
澤「これから、烏野バレー部として、せーの」
「「「「よろしく!!!」」」」
その声になんだかようやくチームに迎え入れられたような気がして気恥ずかしいような、でも誇らしい気持ちでいっぱいとなる。
まだ体力の有り余る猪突猛進2人組はまだ練習をしようとしている。どんだけスタミナあるんだろうと思っていると走ってくる音がした。
「組めた!組めたよ!!練習試合!相手は県のベスト4!青葉城西高校!」
その言葉と共に体育館に入ってきたのは若い先生。
そして彼の言葉に皆ザワつく。
ベスト4かぁーと暢気に思っている間に先生は自己紹介を始める。
どうやら練習試合を組む為に走り回って下さったらしい。
青葉城西からの条件の説明の間にまた蛍の視線を感じる。