第2章 新学期と新生活と入部
影山君は少しホッとしたように言ってこちらを見てきた。
〝よろしくね”と伝えるとそっぽを向いて〝別に”と言ってきた影山君の耳は真っ赤だった。
その様子にハッとして蛍の顔を伺うと、また意地悪そうな顔をしていた。
蛍「なに?王様の癖にに惚れてるの?残念。の彼氏になるのはこの僕だから。君に勝ち目はないよ。」
影「あ゛!?なんだよ。別にそんなこと言ってないだろ!」
蛍「やっぱり手、抜いてあげない。王様にだけは渡さないから」
そう言われて蛍に抱き寄せられ、今度は私の顔が赤くなる番だった。
それから3人で帰りながらとある分かれ道に差し掛かる。
私こっちだから、そう山口君に伝えると
「そうなんだ。僕とツッキーはこっちだから。じゃあね。さん。」
と言われて驚いた。よく考えたら蛍はいつも私の家まで送ってくれているから、てっきり蛍の家も同じ方角だとばかり思っていた。
私のその配慮のなさに申し訳ない気持ちが募る。
しかし蛍は当たり前のように今日も送ってくれるつもりらしい。
「山口、僕はを送っていくから僕もこっちなんだ。じゃあね。」
「そっか。じゃあ僕もそっちに行くよ。」
「山口、空気読んで。二人っきりになりたいんだから」
「そ、そっか。ごめん。ツッキー!」
そういうとそそくさと山口君は帰って行った。
あんな言い方はないんじゃないかとキッと蛍の顔を見ると耳を赤くしている蛍が見えた。
もしかして遠回りしていたことがバレて恥ずかしく感じているのかな…
そんな私の心を読み取って、蛍が一言だけ発した。
「だってスマートじゃないデショ。」
その一言に思わず笑みが零れる。
毎日蛍は登下校とも遠回りしてくれていたんだなぁと思うとくすぐったい気持ちになる。
「わらっちゃってムカつく。」
そう言いながら耳の赤みの取れない蛍と肩を並べて2人で歩く。
私のマンションの下まで来て、じゃあ、と帰ろうとした蛍をなんだか引き止めたくて私は自分でもびっくりするような言葉が口を突いて出た。
『蛍、上がってく?』
そんな言葉に唖然とする蛍と、、、私。
「なんで言った本人が驚いてるの…」
『口が勝手に。帰らせたくないっておもったら…。あ。』
そこまで言って慌てて口を手で押さえる。