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Box【HQ!!】

第2章 新学期と新生活と入部




『いいですよ』


田「マジでか!?お前ほんとに天使だな!!」


そう言いながら田中先輩はピョンピョンと飛び跳ねる。
それを見て一緒に私も笑顔になる。

田「トス挙げられるか?」


『はい。一時期セッターもやらされてた時期あったんで。』


菅「やらされてた??どういうこと?ベストリベロなのに?」


私のまたもや不用意な一言は烏野の正セッターによって拾われた。
誤魔化すのも失礼な気がして、いい機会だと全てを話すことにした。

『えっと…私の1つ上にリベロの先輩が居て、その先輩は背が低くてリベロしか出来なくて。でも私が入部してからはその先輩は控えになっちゃって。
先輩が3年生の時で私が2年生の時になにかにつけて〝最後”〝最後”と言われて、ずっとリベロを譲らされていて。
その代わりにセッターやらされていたんです。
別にトス苦手でもなかったし、やりはしましたが全然納得できなかったんです。そんな感覚でバレーやっているこの人達ってなんだろうって…。
そして私の3年生最後の試合で相手のマッチポイントの場面。
必死で取ったスーパーレシーブに対して、誰も構えてくれていなかったんです。整列しようと髪を整えていて。
ベストリベロ賞とっても〝あんたはいいわね”って感じでしたし。
それでここの女子バレーにも入るも嫌だったんです。』



いきなり飛び出たそんな私の告白に皆手を止めて聞き入ってくれていた。
そしてその静寂を破ったのは澤村先輩だった。





「そうか。色々あったんだな。でも烏野の女子のバレー部と、お前の中学のバレー部を一緒にするのは違うんじゃないか?」





その一言にイラッとした。
そんなことあなたに言われなくたって分かる。そう心が叫んでいてついつい語尾が荒くなる。



『あんだけ大好きで大好きで仕方のなかったバレーをそんなに簡単に諦められる訳ないじゃないですか。
だから一回だけ諦めきれなくてここの女子のバレー部の朝練もこっそり見学に行きました。
でもそこには2人しか居なかった!同じ匂いがしたんです!
あの時と。だから、だから!!!』



そこまで言ってふと気づくと視界に人が入ってきて前の視界いっぱいに広がる。そして蛍の香りがした。



「もういいから。」


そう言われるとぽすっと前から蛍の胸に頭を預ける形になった。



「…早く涙拭きなよ」


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