第2章 新学期と新生活と入部
蛍の焦った声なんて今日2回目だな、と思っていると今度は打ってきた張本人の焦った声がした。
「おい、大丈夫か。スマン。全力で打ってしまった。」
『大丈夫です…!痛めてないです!こういう体質なんです!』
必死に怪我をしていないことを俯いて訴えるも、こちらを向かない事で疑わしく思ったのかその人に顎を持たれてその人の方を向かされる。
これ顎クイってやつだ!!←
そこでパチッと目が合い、初めてその人の顔をじっくり見る。
黒髪でキリッとした眉毛の彼、ジャージには青葉城西の文字。
そしてさっきのアタックを思い出すと途端に眩しくて眩しくて目が合わせられなくなる。
『ま、』
「ま?」
『眩しいーーーー!!!』
そしてその人が驚き手が緩むと同時に蛍の元に駆け寄る。
顔を真っ赤にした私を見てまた蛍は不機嫌顔。
〝こういうことね。こりゃ厄介だ”そうつぶやく蛍に〝だから言ったのに!”と反論する。
そんな私達をよそに先程の彼も真っ赤になって固まっている。
そして遠くから彼を呼ぶ声がする。
「岩ちゃーん!?どこー??及川さんを置いてかないでー!」
そんな声にハッと我に返った〝岩ちゃん”と呼ばれた彼は声の方に走り出す。
「あ、あの、ほんとにすまなかった。その、お大事に!!」
そう言って一瞬で岩ちゃんは見えなくなった。
そして嵐の過ぎ去った後のその場所には蛍と私だけとなる。
蛍はさっきから思案顔。
〝とりあえず僕も打ってみるね。”そう無表情に言った蛍の真意が分からずオロオロする。
でも基本拒否権ないし←
コクコクと頷き、離れた所まで行って構えてトスを上げる。
すると蛍からかなりの勢いでアタックを打たれた。
またボールを綺麗に返すものの、その後はご察しの通り眩しくて蛍も見られない。
『眩しいーー!』
その単語を連呼する私に蛍は呆れた様な満更でもない様子。ま、見えないから雰囲気で感じるんだけど。
はぁーー。と深いため息を吐いたと思ったら蛍に手を繋がれる。
「これは想像以上に重症だね。これじゃあ、はいつかバレー部の誰かに惚れちゃうよ。僕になら構わないけど。対処法は明日までに考えてくるから今日は帰ろう。
僕を見ないようにしたらコケるから手を繋ぐよ。ほら家の場所も教えてよ。送っていくから。」