第6章 壮行式とインターハイと期末テスト
「じゃあまずはとりあえず脱いで。」
『へ?』
ーーーこの人、脱いでって言った…?
さも当然のように脱いでと言い放った蛍は、戸惑う私をよそにひょうひょうとしている。
それはもう僕何か言いました?的な感じだ。
『一応聞くけど、なんで?』
「下着姿になって、雑誌と同じポーズを取って貰ってどんだけが無防備が理解してもらう為。
だってそうでしょ?彼女が男を誘惑する様なポーズで雑誌に載って、僕が平気だと思う?」
『でも、あれは隠し撮りだし「それでも、撮られたって事は隙があった訳だし現に知らず知らずの内にそのポーズをしてた訳デショ?
逆の立場ならどう思う?
雑誌で僕の写真載って、他の女の子にキャーキャー言われたらはどう?嫌でしょ?」
『そ、それは嫌だ…』
「でしょ?じゃあホラ、早く脱いで。」
言い訳を許さないように言葉を被せて淡々と追い詰められて、またしても蛍に言いくるめられる。
でも、確かに逆の立場なら嫌だった。
蛍が他の女の子にキャーキャー言われるなんて絶対嫌だ。
蛍もそんな思いをしたのか、とようやく気付くと途端に申し訳ない気持ちに襲われる。
そして私は決心した。
『…分かった。確かに今回は私が悪かった。…ぬ、脱ぐから後ろ向いてて!』
珍しく敗北宣言をした私に蛍は少し眉を上げて驚いた顔をした後にクルリと後ろを向いてくれた。
それを確認して、意を決して制服を脱いでいく。
パサ、パサと衣擦れの音のみが支配する中ドキドキを通り越して恥ずかしくてヤケになっていた。
そしてブラとショーツというあられもない格好になって、ようやく蛍に声を掛ける。
『…蛍。脱いだよ』
その声掛けにゆっくりと蛍は振り返った。