第6章 壮行式とインターハイと期末テスト
しんと静まり返る講堂に落ち着いた大地さんの声が響き渡る。
バレー部の主将らしい静かな情熱を持った声色に私も真面目に聞き入ってしまう。
大「僕たち男子バレーボール部は、かつては全国大会への出場経験もありました。
しかしここ数年は力及ばず予選落ちが続き、決勝には進むことは出来ませんでした。
でも今年は専属コーチも付き、僕たちの代で…」
田「大地さんには悪いが、予想通りの真面目さだな。」
縁「ああ。」
『でも、なんだかやりにくくないですか?こんなにも大地さんが真面目にやってるのに…』
田「甘いな!感動、それは共感!
全校生徒の注目と応援というパワーをちょっとずつ集めて超巨大応援を得るために、そして勝利に向かってブッちぎる為にも…
俺達は今日、あえて邪道!茨の道を行く!!!」
夕「おう!!」
相変わらずよく分からない理論で熱く語る田中さん。
しかしその勢いで皆どんどん気合が入っていく。
そして田中さんの鼻からティッシュが飛んで行って床に落ちた。
と同時にラジカセからパンク系のノリノリの歌が流れる。
何故かそれを合図に田中さんが飛び出していった。
その後にポンポンを持った私達も続く。
壇上に上がると熱気に驚いた。
それは全校生徒の熱気なのか、スポットライトによる熱気なのかは分からないがテンションが上がる気がした。
しかもスポットライトの逆光でほとんど生徒の顔が見えないというのも好都合で。
田「ヨッシャーー!待たせたな!!」
首にメガホンを掛けて、ポンポンで胸元のTシャツを隠しながら出て来たどう見ても浮かれ切った私達。
更に私なんてチアリーダー姿だ。
7人の浮かれ切った姿に講堂の空気は爆笑に変わる。
「よっ!バレー部!待ってましたッ!!」
「田中ーーッ!いいぞーーー!!」
2年生の列から飛ぶ歓声に安心する。
ここまで来たら吹っ切れてやるだけだ。
大「お、お前ら…何を!?しかもに月島…お前達まで!?」
夕「大地さん!任せて下さい!!」
状況把握できていない大地さんに夕は声を掛けた。
しかし大地さんの混乱は大きくなるばかりだ。
田「俺達の熱い思い……とくと目に焼き付けろーーーッ!!」
その言葉を合図に私達は一斉にポンポンをずらして、一列に並んで戦隊ポーズを決める。