第6章 壮行式とインターハイと期末テスト
迎えた壮行式当日。
2年生と蛍と私は息を潜めて体育館裏で集まり大地さんの登場を今か今かと待っていた。
皆は一昨日作成したあのTシャツに学生服のズボンを履いている。
そんな中私はチア部のユニフォームを着てその上からTシャツを羽織っている。
そして更にジャージを着ている状態だ。
夕「つーか、なんでお前ジャージ羽織ってんだよ~見せろよ~チア姿~」
『嫌だ。ギリギリまでジャージ脱ぎたくない。この姿は恥だもん。』
蛍「どうせ似合ってるんだからさっさと披露したら?」
『似合ってるのは私が一番よく分かってるよ!!!』
蛍「え…。自意識過剰。。」
『いや、冗談だから!笑ってくれるかと思って……』
夕「いや!月島の言う通り絶対似合ってるって!だからさあ!脱げ!」
田「ノヤ。それはギリギリで見る方が楽しみが増えるってもんなんだよ。」
縁「おい、そろそろ大地さんの番だぞ。」
縁下先輩のその声に皆が一斉に壇上に目を向ける。
壇上では道宮先輩がカンペを畳んでいた。
---いよいよだ。
そう感じ、こっそりジャージを脱ぐ。
するとそれに気付いた田中さんが目にも止まらぬ速さ鼻を押さえた。
大地さんにバレないように声を出せない中で全員が絶句する。
縁下先輩がポケットから出したティッシュを急いで鼻に詰めた田中さん。
そんな間抜けな姿で、彼は仏のような顔して私に対し親指を立てて見せた。
---サムズアップ?このタイミングで??
そんな疑問を持っていると蛍に耳元で誰にも聞こえないように呟かれる。
蛍「おかずをありがとうって意味じゃないの?」
『---!!!』
蛍「今日の夜はチア姿でいただくから。」
そんな衝撃発言に身が凍る。
早く終わって欲しいと思っていたのに、途端に放課後が待ち遠しくなくなった。
絶望の淵に立たされている私を余所に、壇上に大地さんが登場する。
田「来たぞ。大地さんだ。皆用意は良いか??」
「「「「『(おう!)』」」」」
ここまで来たら引き返せない。
私達のここ数日の努力がようやく報われるのだ。
田中さんの家での興奮がどんどん蘇って来る。
そうして私達はまた得体の知れない興奮に飲み込まれていった。
大地さんは全校生徒に一礼し、スピーチを始めた。